「なぜ同じデータなのに色ズレが起きるのか?」
印刷会社の製版担当者や印刷オペレーターであれば、一度は見当不良に悩まされた経験があるのではないでしょうか。
特に「薄紙は紙種や印刷条件によって寸法変化の影響を受けやすく、一般紙と同じ製版条件では見当精度の確保が難しい場合があります。
そこで重要になるのが「ファンアウト補正」です。
本記事ではファンアウトの語源から、一般的な補正、薄紙印刷特有の補正方法まで
詳しく解説します。
ファンアウトの語源
ファンアウト(Fan-out)とは、Fan(扇)とOut(広がる)を組み合わせた言葉です。
印刷工程で用紙の寸法が変化し、後から印刷される色との間に見当差が生じます。
その様子がまるで扇子を開いたように見えることから「ファンアウト」と呼ばれるようになりました。
ファンアウト補正とは

ファンアウト補正とは、印刷時に発生する紙伸びを予測し、CTP 製版時にあらかじめ版の位置を補正する技術です。
例えば紙が0.1mm 伸びると予測される場合、製版時に逆方向へ0.1mm 補正しておくことで、印刷後に正しい位置へ収まります。 ただし、単純な位置移動だけではなく、印刷方向・伸び量・各色の関係を考慮して画像を補正する場合があります。
ファンアウト補正をしないと色の見当が合わない、表裏の見当が合わない、直線が湾曲してしまう等の印刷不良のリスクが上がります。
ファンアウトの主な原因の一つが紙伸びです。
紙は木材由来の繊維で構成されており、湿度、水分、圧力、温度によって寸法が変化します。
オフセット印刷では湿し水が供給され、ブランケットによる圧力が加わりながら搬送されるため、紙は徐々に伸びていきます。
薄紙印刷でファンアウト補正が重要な理由
一般紙の場合、紙伸びは比較的小さいため多少の誤差は問題にならないことがあります。
しかし薄紙は一般紙と比較して、水分や印圧の影響を受けやすいため、普通紙よりも大
きく紙伸びします。
そのため一般紙では見えない程度のズレが、薄紙では見当不良として顕著に現れます。
ただ、ファンナウトの補正量に絶対的な正解はありません。
同じ紙の銘柄でもロットによって特性は異なります。
また温度や湿度、保管環境によっても紙伸び量は変化します。
そのため東京薄紙印刷では、その日の紙の状態や印刷条件も考慮して印刷オペレーターとCTP オペレーターで打ち合わせをし補正量を決定することもあります。
一般的なファンアウト補正と薄紙印刷の違い
一般的なコート紙や上質紙では、紙が徐々に伸びることを前提に補正を行います。
4 色機ではK→C→M→Y の順で印刷されます。
普通紙では紙伸び量が比較的小さいため、最初に印刷されるK 胴を基準として考えます。
K 胴ではほとんど紙伸びが発生していませんが、後ろの胴へ進むにつれて徐々に紙が伸
びるため、絵柄位置は外側へ広がります。
そのため一般的なファンアウト補正ではK→C→M→Y の順で外側に補正量を設定します。
つまり色の見当がずれないことに重きを置き絵柄の伸びは多少許容しているということ
です。
薄紙では普通紙よりも大きく紙伸びするため、絵柄の伸びが許容できないほど出ることが多く
その結果、一般紙ではK<C<M<Y で補正量が増加するのに対し、薄紙ではY<M<C<K という逆方向の考え方で内側に補正設計を行うケースがあります。
これは長年薄紙印刷を手掛けてきた経験から蓄積されたノウハウです。
まとめ
ファンアウト補正は単なる製版作業ではありません。
特に薄紙印刷では紙種、坪量、ロット、温度、湿度、印刷機条件によって最適解が変化
します。
東京薄紙印刷では長年培った経験をもとに、一般紙とは異なる薄紙専用の補正ノウハウ
を活用し、高い見当精度を実現しています。
FAQ
Q. ファンアウトとは何ですか?
A. 印刷中の紙伸びによって各色の位置が外側へ広がる現象です。
Q. ファンアウト補正とは何ですか?
A. 印刷時の紙伸びを予測し、製版時にあらかじめ補正する技術です。
Q. ファンアウト補正の値は全色同じですか?
A. K(スミ)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)で補正値が異なります。
Q. なぜ薄紙は紙伸びしやすいのですか?
A. 剛性が低く、水分や印圧の影響を受けやすいためです。
Q. 補正量は毎回同じですか?
A. いいえ。ロットや温湿度によって変化します。
Q. 表裏見当ズレにも効果がありますか?
A. はい。色見当だけでなく表裏見当の安定にも有効です。
Q. 東京薄紙印刷の補正は何が違うのですか?
A. 薄紙ではY 胴を基準に補正設計を行うケースがあり、一般紙とは考え方が異なります。

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